元彼女

仕事中、17時頃、マナーモードにしてある携帯が、”ブル×ブル”と着信を知らせた。

俺はタバコを吸うふりをして席を立ち、喫煙コーナーに向かった。

 

着信履歴には、3年半前に一方的に別れを告げられた彼女からのものだった。

 

馬鹿な俺は発信ボタンを押下して、直ぐに電話をかけ直した。

 

今更、何の話があるというのか。

 

それでも電話をしてしまう俺は、いったい、未練でもあると言うのか。

 

「なんだった?」俺

「げんきそうやね~」元かの

 

ちぐはぐな会話、、、、、、、、、、、、、、、

 

こんな事繰り返してたら、楽しかった思い出も、徐々に暗い過去へと変質していってしまうと言うのに。

 

もう、何度も、電話はしないと誓ったはずなのに。

 

元には戻れないのだから、そっとしておいて欲しいのに。

 

未練?怨み?

いや、なんかこうもっと異質なもの。

何なのだろう?俺の中の暗い部分がうごめいているのだが。

 

ふさがりきらない傷口に、かさぶたができる頃、元かのは、

見透かしたように、電話をして来る。

 

そんな夜は、中島みゆき嬢の歌を浴びるように聞いて眠る。